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泡盛Q&A

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●品質

Q.27 ビン詰めとカメ詰めの香味の違いは

同じ泡盛の新酒をそれぞれビンとカメに詰めて貯蔵したとしましょう。熟成中の変化のうち,アルコールと水が組合わさって味が丸くなることはビンもカメも同じです。しかし,泡盛が空気を吸うことによって起こる香味成分の変化は容器の壁面から空気が通いやすいカメと空気を通さないビンとでは後者の方が変化しにくいのは当然です。

またカメの壁面からは揮発成分の蒸散による香気成分の濃縮もおこなわれ,カメ貯蔵ではアルコール分がビン貯蔵に比較して低くなる反面,落ちついた香りが高まります。これに,カメ造りに使用した陶土の無機成分の溶出による着色,味の変化も加わり,カメ貯蔵の泡盛の香味はビン貯蔵のものより濃醇で,巾のあるものとなります。一方,ビン貯蔵の泡盛は軽快な香りがあり味は淡麗で,かつアルコールがなれた丸さがあります。


Q.28 カメ詰めの場合,よいカメの条件を教えて下さい

  1. 泡盛が呼吸できるように,上薬をかけない荒焼(あらやち)のカメであること。
  2. カメの陶土の無機成分が泡盛の着色,味に影響するので,昔からシャム南蛮が最高といわれています。例えばシャム南蛮では3年で淡黄色に着色するが,沖縄の地ガメでは6年かかるということです。
  3. 新しい荒焼きのカメの場合,水を入れたときは漏れなくても,泡盛を入れたとき漏れることがあるので,貯蔵初期には漏れに注意しなければなりません。
  4. 中古のカメの場合,前に入れてあった酒のクセが滲み込んでいて,泡盛に移ることがあるので要注意。なお,梯梧(でいーご)の幹を輪切りにした栓を蒲葵(びろう,くば)の葉でくるむか,クレラップでくるむかにより,風味が違います。

洗米水


Q.29 長期貯蔵中に品質が低下することはないのですか

蒸留したままの泡盛原酒には米由来の油分が含まれています。この油分は泡盛の白色浮遊物やにごりの原因となるので,瓶詰めするまえに除去していますが,取りすぎると味があらくなるので,味の成分として多少残す必要があります。もし,これが貯蔵中,泡盛のうえに浮かんでくると,空気によって酸化し,鬢(びん)付け油の臭いのような油臭を泡盛につけます。琉球王家の松山尚順氏の遺稿『鷲泉随筆』によれば「古くから鹿児島より沖縄へわたってきた鬢付油」の匂いを《白梅香(かさ)》といって優良の古酒の香りの一つとしていたことがわかります。

しかし,油臭は多いと快いものではないので,貯蔵中酒の表面に浮かんで来る油はすくい取った方がよいでしょう。また,長期貯蔵中,容器の蓋にカビがはえるとカビ臭のもととなります。カメによっては陶土からの溶出成分が多いものがあり,その場合はカメ臭と呼ばれる香りが強くなりすぎて土臭さとして感じられるので,別の容器に移した方が良いでしょう。


Q.30 泡盛はどのような品質特性をもった酒ですか

泡盛の品質特性としては次の3つが挙げられます。

まず(1)蒸留酒としての特性。醸造物を蒸留して,アルコールや香気成分など揮発成分の水溶液ともいえる蒸留酒は,清酒・ビール・ワインなどの醸造酒と違って,流通段階で日数,温度による品質の劣化がなく,安心して扱える商品です。また家庭で開栓後,常温におかれても,まったく腐敗する心配がありません。タルに熟成させた蒸留酒は開栓後空気に長く触れるとコハク色に黒ずんできますが,カメや瓶に詰めた泡盛は大丈夫です。

(2)米麹の蒸留酒としての特性。米由来の複雑な風味は,肉の生臭み,油料理のしつこさを消すなど,クセのある臭いを中和し,口中感をさわやかにします。

(3)製品の銘柄間の特性。蒸米の硬軟,麹の造り方,もろみの管理法,蒸留の時期,蒸留の仕方,ろ過・精製の有無,割水の味などの違いにより,銘柄による特徴が出やすいのも,泡盛のよいところです。沖縄の島々で造られた沢山の銘柄のなかに,御自分の好みに合った泡盛が,かならず見つかることでしょう。

(4)飲み方の多様性。泡盛は水割り,湯割り,オン・ザ・ロックと,好みに応じ,体調に合わせてアルコール分を調節しても伸びがきき,酒の形がくずれず,楽しめる酒です。


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